中央アルプス 宝剣岳における事故について

2019年2月10日、中央アルプス宝剣岳付近にて、当会会員のパーティーが滑落死亡事故を起こしてしまいました。多くのテレビやネット上でも報道されるような重大事故を起こし、世間をお騒がせしてしまいましたことを心からお詫び申し上げます。また、懸命なる救助活動に携わっていただいた警察、搬送先の病院をはじめ、現地において多くの方々に多大なるご迷惑をおかけしてしまいましたこと、さらに、ご遺族様におかれましては突然大切なご身内を奪ってしまい、耐え難い悲しみを与えてしまいましたことを深く深くお詫び申し上げます。また、所属団体である大阪府勤労者山岳連盟をはじめとした多くの山岳関係者、故人の勤務先や友人知人にもご迷惑やご心配をおかけしてしまいましたことを重ね重ねお詫びを申し上げます。

当会では、過去の事故を教訓に会を挙げての安全な登山・クライミングを追求していたところでありましたが、それもむなしく再びこのような事故を起こし、大切な仲間を失なうことになってしまいました。会も会員も大きな無力感に苛まれている状況ではありますが、今は今回の事故の徹底的な検証と反省を行い、重大事故を繰り返さない更なる固い誓いを立てるとともに、より一層の安全な活動の追求を怠らないことを再確認し、今後の活動の戒めとしていきたいと思っております。

事故の概要
2月10日、当会会員の男女2名パーティーにて、中央アルプスの駒ヶ岳ロープウェー山頂駅からサギダル尾根を登攀後、継続して宝剣岳を目指して縦走していたところ、宝剣岳南陵の山頂手前付近にて女性会員が何らかの原因で転倒し、木曽側(西側)へ滑落。その後の救助要請で駆けつけいただいた県警のヘリにて発見、ピックアップされ松本市内の病院に運ばれるも、死亡が確認された。

事故発生時の状況
男女2名の会員は50歳代後半で、積雪期の山岳登攀も含め登山経験は豊富であり、当日の体調にも問題はなかった。天候は晴天ではないが降雨・降雪はなく遠望もきき、加えて風も弱く、客観的に見ても行動への大きな不安要素はなかった。現場付近のルート状況は、風で飛ばされたのか積雪は少なめで、氷結状態(アイスバーン)になっている場所が多かったが、アイゼンとピッケルで慎重に通過すれば特に大きな不安は感じられないところであった。滑落地点も同様に砂礫混じりの氷結した歩行面だったが、幅50cm・距離5m程の、進行方向にも左右にも概ね平坦な、やや細いながらも形状的には比較的安定した部分であった(夏道と思われる)。ただし、進行方向左側(西側)は氷化した急斜面が切れ落ちており、滑落すれば致命的と言えるような場所でもあった。この5m程の部分を女性会員が歩行中、中央付近にて何らかの原因で体勢を崩し転倒、滑落してしまった。転倒した直後の様子は、少し前を歩いていた男性会員が振り向き、目視もできたが、転倒した瞬間の目撃がなく、転倒の直接的な原因は不明である。

事故の詳細などをまとめた事故報告書を、ご希望の方に配布しております。当ホームページの[お問い合わせ]からご連絡ください。