台高縦走

【メンバー】 A山単独

【日  時】 4月19日(水)~22日(土)

1)全体事項
自分の誕生日を初日にして、台高縦走に行った。
ルートは
 自宅~(電車)~榛原~(バス)~大又
 ~明神平~池小屋山~馬の鞍峰~大台ケ原駐車場

全部で四日間の計画。
駐車場からのバスが4月22日スタートなのでそれにあわせて出発日を決めた。
しかしまあ、もう64歳だ。。。ようやるわ。

2)感想
実に地味な山旅だった。
大きな山もあまりなく、稜線のコブまたコブを辿っていく。
大学のワンゲル向けのルートと思った。
(登攀的要素がなく、自然にどっぷりつかれるという意味)

3)ポイント
①私が通過した筏場道は通行禁止。
 後述の通り通過したあとに気づいた。なかなか厳しい道だった。
②道が薄いのでルーファイがなかなか難しい。
 迷いやすいところには、おおむねテープなどのマーキングがあるが、それも申し訳程度のところがある。
 そのため私はGPSを使っていたものの全部で5回間違えた。
 最も注意しないといけないのは山ないしコブから下るとき。
 私の場合、一番ひどかった失敗は池小屋山から登りと同じ道を降りてしまったこと。
 それ以降、GPSとコンパスを併用して方角だけは間違わないようにした。
 それでも地形図は持っていっていないので厳密な方向ははっきりしない。だから「変だな」と思ったら、すぐに引き返す臨機応変さが必要。
 というか、まずは敏感に「変だな」と思うことが必要か。
 ※基本的に奈良県と三重県の県境を歩くので、県境を示す石柱が必ずあるはず。それがなくなれば、ルーファイミスしているという判断はできる。
③なぜかブッシュがほとんどない。
 草原の稜線を進むかんじで気分が良い。
④当然のことながら明神平から駐車場まで人に会わない。

4)データ
※電池節約のために省電力モードだった部分がかなりある。そのため距離は少なめに出ていると思われる。
 総距離    43.3km
 総登高距離  +4,636m、-3,477m
 総行動時間  30時間18分47秒
 コースタイム比 115.1%
 ルーファイにかかる時間があると思うが、もっと早くないと!!!

5)今回の発見
①この季節のこの高度なら、夏用シュラフ+防寒具2で対応できる。
 3日目の朝は寒かったが、軽量化優先で我慢!
②行動食をアルファ米にして、水で戻せばガスが節約できる。
 前々回くらいから朝ごはんをテントで食べずに、アルファ米(チキンライスやわかめご飯)にお湯を入れて、それを行動食として持ち歩いて別途持参している行動食の節約もしていた。
 今回、なにも朝、お湯を入れなくても水で戻せばよいと考えついた。
 これは屏風を登った時に、横尾で水で入れたらT4テラスで食べられる状態になっていたことを知っていたから。
 いままでの経験から朝晩一回で16gのガスだったので今回は余裕みて20g×3回の計算でガスを持参したが、結果的には、一回につき11.67gですますことができた。

以下報告。
4月19日(水)
【一日目 距離 12.2km 5時間23分20秒】

榛原駅から奈良交通バスに乗り、菟田野で東吉野村コミュニティバスに乗り換え。
このバスに乗ったのは8:50ごろ。

そして終点の大又についたのは10:00少し前。それで値段は200円。
東吉野村の税金にお世話になった。

大又バス停の前にあるしだれ桜。

前回この神社の右手から蓬岳に登り、高見山まで一日で駆け抜けた。
だから、今回は明神平に直接あがり、南へ縦走する。

魚止の滝
自撮り

そう、この日はずっと雨だった。

それも明神平に着くときには、おおむねやみ、ガスもだんだん晴れてきた。

この明神平。
一度キャンプ(だけで)に来てみたいとずっと思っている。
直火はできないが、焚火ができる気持ち良いキャンプサイトがある。
平日だが、この登りで二組をすれ違った。
昨夜キャンプしたのだろうが。

ほどなく明神岳。

こういう石柱があった。
一言だけ「山」とある。
まあ、そのとおりだが。

千石山から降りるとキャンプ適地がある。
この水場のマークから東方面に平地(傾いているが)が広がっている。

でも背中には明神平手前の水場で汲んだ水が相当量ある。
なので、ここはパス。前に進む。

ただ、なんだか疲れていて、予定地よりは前、赤嵓山の手前に稜線近くて、風も避けられるちょうどよい窪地があったので、そこで泊まることにした。

14:30について、17:30まで昼寝していた。
ご飯食べて18:30に寝たが、ぐっすりだった。よう寝るわ。

4月20日(木)
【二日目 距離 15.9km 10時間22分03秒】

テン場から頑張って登るとここ。

今日もコブのオンパレード。
小さいコブ、中くらいのコブを越えていく。
大きめのコブには名前がある。

おおむねこのような道を進む。

ちょっと見えないかもしれないが、ちょうど真ん中に赤いテープのマーキングがある。

このような道もある。

こういうのは気持ちよい。

ここはちょっとンメジャーな山。

ここまで沢登りで来ようと思ったらなかなか手ごわい沢を突破しないといけない。

これが山の名前になった由来の池らしい。

というか、これはルーファイミスで、登ってきた同じ道を戻ってしまったときに撮った写真。
なんか同じような池があるなあ。と思って、GPSをみたらびっくらこいて慌てて登り返した。

一応池小屋の三角点にタッチ。

ここがあとにも先にも天からの授かりものの水場。
実はエアリアの水場マークがあるところを過ぎてしまって、元に戻ることをしなかった。
おかげで水不足で疲労していた。

そこにこの表示が出てきたので、喜び勇んで水を汲みに行った。
この表札から降りて5分くらいのところに命の水があった。
この水のおかげで元気を取り戻した。

実は水が残り少ないので、どこか谷に降りて、水を確保しようと思っていた。
そのためには、水探しの時間を確保しないといけない。
その心配がなくなったし、元気を取り戻せたので、予定通り地池越まで行くことにした。
結局、この日は当山行最長の10時間22分行動となった。
エアリアでは地池越には水がある。それを楽しみにしていた。

※上記霧の平の水場。
 もしかしたら、エアリアの水場マークの位置が違うのかもしれない。
 エアリアでは弥次平峰の手前に表示があるがこの水場は弥次平峰を越えたところにあったからだ。

4月21日(金)
【三日目 距離 7.2km 8時間10分15秒】

地池越には水がなかった。
エアリアには水場マークがあるのだが谷を少し下っても、水のしたたりが伏流水になってしまい、採れない。水には余裕があったので、あきらめることにした。

そして今日もコブの嵐。今日の一発目の大コブ。

中コブ。

この先にエアリアでは「岩稜」という表示がある。

このくらいなら大したことない、と思っていたが少し長いし、最後には急なところがちょっとだけあった。

※ここにはフィックスロープがあった。
 この縦走路、他のところもフィックスロープがあるところはあるが、ちゃんとしているか(要するに切れないか)は、きちんと確認しないと危ない。

湯谷の頭から2時間ほど歩いたところに、エアリアにキャンプ適地というマークがあるところがある。昨晩のキャンプ地では水が汲めなかったので水マネージメントが苦しくなってきたときにこの水場はありがたかった。

なんと川が流れていて、水を一杯汲むことができたからだ。
荷物が重くなるので、痛しかゆしだが、これでどこでもテントを張ることができると思うとかなり余裕が出てくる。
そこにはアメダスらしき建物もあった。

中コブ。

標識もなかなか古い。

テーピングのマーク。

と思ったら、こんなのもあり。

まあ、いまはしんどいけどね、一人で突っ込みを入れた。

たまには花の写真も。
これはシャクナゲ。

シャクナゲには嫌な思い出がある。

東北の吾妻山。
日本百名谷の中津川から、日本百名山に登ろうと企てたものの、中津川遡行がなかなか厳しくエスケープしようとした。
しかし、2万5千図にもエアリアにもある登山道が見つからず、日曜日の下山が火曜日になってしまった。そのときに悩まされたのがシャクナゲのブッシュ。

この木、枝が曲がりくねっていて、かき分けて進もうとするとなかなか前に行かせてくれない。
そのときは道が全くなく、コンパスでルーファイしてなんとか一般道に出ることができた。

シャクナゲを見るとその時の嫌な思い出がよみがえる。
普通は花を愛でるのだろうが、私は違う。

振子辻の看板。

この割れた標識以外はなにもない。

今日は水のある引水サコまでの計画だがそこには水場マークがあってもキャンプ適地の表示がないことに気づく。
そのためおそらく1時間くらい手前の振子辻から降りたところの適地に張った。

これも水に余裕のあるからできることだ。

14:30について昼寝しようと思ったが、初日ほどぐっすり寝られなかった。
夜中には獣の声?音?がするので、コッヘルとシェラカップを打ち鳴らして、防衛に努めた。

※マーキングについて
これにも助けられた。たぶん阪神ファンがつけたのだろう。

これに一番助けられた。
青い梱包紐を結んだものだろうが、一番長い区間つけられていて、ずっと助かった。
このマークの先に進んだが、道がおかしくてこのマークのところまで戻ったことも数回あった。
その意味でもとても助かった。

見た通りマーキングは老朽化している。
木から落ちて地面に落ちているマーキングも多かった。
ここでふと考えた。
これから先、マーキングをつけて歩く殊勝な人はいるだろうかと。

推測だが、これからは皆さんGPSを使うので、マーキングを新たにつける人はいないような気がする。
そうなると今のマーキングは朽ちて落ちるだけ。いずれは山のなかからマーキングがなくなるのかもしれないと思った。
ある意味もとに戻るということかもしれない。

はてさてどうなることだろうか。

4月22日(土)
【四日目 距離 8.0km 6時間23分09秒】

遂に最終日だ。

ちなみに昨日はかなり寒かった。防寒具を二枚着ていたが、寒さで目が覚めた。
どこからか忘れたが、ついにドライブウェイが見えた。
ちょっと遠くてがっかり。

つつじの花。

これが最後の大コブか。

なかなか気持ち良い道。

そのなかで県境の石柱がしっかり見える。

と思ったら最後の最後でちょっと岩稜。

倒木があって脇を迂回できず、岩の上に立たないといけないところがあった。
そして大台辻。

標柱をよくよく見ると

確かに悪路だった。
でもここからは一般道だから安心だ。

なにかロープが張られていて、表示があったようだが、取れてなくなっている。ちょっと不安になる。

筏場道は快適だった。

つつじを撮る余裕も。

昔の手積みの石垣がいっぱいある。
高いところでは10m。

立派な標柱もある。

ところが快適さも最初だけ、実際のところ、この道は実に荒れていた。
ここまで来るのもなかなか大変。

ようやく到着。

ここからより一層道が荒れてきた。

枝谷を道がと横切るところのほとんどは崩壊していた。
そこを怪しげなトラロープなどで渡るのだが、トラロープがあるだけましという感じで、ないところもあった。

そのくせ立派な橋がある。

ここにもある。

こんな風に整備されているのは一か所だけ。

ここにも立派な橋が。

ドライブウェイ近くなると大台ケ原らしい笹原が広がってきた。

ついに到着。

出たところはここだった。

そして振り返ると。。。

通行止めだった。
このことは事前リサーチで出てこなかった。
(出てこなくても通ったと思うが。)

そして見慣れた駐車場に到着。

石碑にタッチ。

車でここに来るのと、歩いてくるのでは大違いということを実感した。
ついに終わった。

今日は朝ごはんを食べてなかったので、贅沢をする。

これで1,100円!
それでもビールは外せない。

※筏場道
明治時代に富豪が自費で開削した道らしい。
ドライブウェイがなかったころには大台ケ原に行くメイン道のひとつだった模様。
そのせいか環境庁の㏋にも乗っており、「ハイキングに最適」なんて書いてある。
だから立派な橋や、標柱があるのだと理解。
おそらく大杉谷が大きな被害を受けた台風直撃のときに同じように崩壊したのだろう。
立派な橋があるものの、メンテ工事をしようとそこまで行くのも、難しいと思った。
おそらくこのまま朽ち果てる。
橋の建設にかかった費用は莫大だろうに。