赤岳主稜

●日程
3月4日(土) 赤岳山荘→南沢→行者小屋テント場(テント泊)
3月5日(日) 行者小屋テント場→赤岳主稜→行者小屋テント場・テント回収→赤岳鉱泉(小屋泊)
3月6日(月) 赤岳鉱泉→北沢→赤岳山荘

●メンバー:けろよん(リーダー)、タケシマ

●装備:テント泊装備一式、雪山登山装備一式、
登攀装備:アタックザック、ヘルメット、アイゼン、ピッケル/アックス、シングルロープ(60m)、アルパインヌンチャク x5、フリーヌンチャク x2、アンカーテープ、無線機、その他基本装備

●3月4日(土) 晴れ
美濃戸口から赤岳山荘までは車移動(四駆車+チェーン)。
12:20 赤岳山荘
12:35 美濃戸山荘。ここから南沢を経て行者小屋テント場を目指します。

15:15 行者小屋テント場

赤岳全景
大同心・小同心(雪がほとんどない)

●3月5日(日) 晴れのち曇り
5:50 出発
6:40 赤岳主稜 取り付きへの分岐

標高2650m付近で左手を見ると数人のクライマーを発見。1パーティが目印のチョックストーンを登攀中、さらに1パーティがそのすぐ下で待機していた。我々はルンゼの中での待機を避けるため、しばらく一般道とアプローチの分岐点で待機。待っている間に後続の2パーティもやってきて、同じく場所で待機することになった。

最初のパーティが全員登りだしたのを見て、我々も取り付きへ移動。このトラバースも要所で岩が露出しておりなかなか悪く、慎重に移動した。

取り付き到着後、30分以上の待機を経て、8:00頃にようやく登攀開始。

赤岳主稜

▶1ピッチ目(Ⅲ)タケシマリード
本ルートの核心ピッチはタケシマの希望でオンサイトの権利を譲ってもらった(以降ツルベ登攀)。核心となる出だしのチョックストーン、登ってみると割とあっさりとクリアできた。乗り越した後は緩い傾斜だが、雪が少ない影響か小さな浮石がゴロゴロ落ちており、落石には気を遣った(それでも気づかぬ内に落としてしまったようだが)。
次の残置支点までロープの長さは十分あったが、ルートが大きく屈曲していることと、やはり次の支点で先行パーティ待機になりそうだったので、ピナクルで支点を作りピッチを切る。

▶2ピッチ目(Ⅲ) けろよんリード
けろよんはピナクルから次の支点までは過去に経験があり、特に難なく支点に到達。ここは支点と分かるスリング等があり、場所も安定している。

▶3ピッチ目(Ⅲ)タケシマリード
出だしを数m登れば後は緩い傾斜。残置支点は先行パーティに取られていたので、少し離れたピナクルで支点構築。

▶4ピッチ目(Ⅱ) けろよんリード
緩い傾斜の続きなので滑落の心配もなく安定して歩けるが、支点を取る場所が見つからない。少し出っ張った岩にスリングをかけて支点としたが、「これは外れそうだな」とかけながら思う。タケシマによると、やっぱり外れてしまっていたらしい。

▶5ピッチ目 コンテ
傾斜が緩くなったところで数十メートルほどコンテで移動。

▶6ピッチ目(Ⅲ)タケシマリード
壁に突き当たったところでピッチクライミング再開。途中から傾斜は緩くなるが薄く雪のついた草付きはなんだか気持ち悪い。

▶7ピッチ目(Ⅲ) けろよんリード
このピッチは雪がしっかり詰まっており、ダブルアックスでぐいぐい進めば特に技術的に難しい点はないが、急登でとにかく疲れた。終了点に着いたころには軽く息切れ...。そしてこの終了点にてまたもや30分ほどの先行パーティ待機。わずかに日が差す所で待機できてまだ良かった。後続パーティは日陰で待機していたが寒そうだった。

▶8ピッチ目(Ⅲ)タケシマリード
フェースから始まるこのピッチは岩主体で傾斜も強く、久しぶりに少々手強いピッチとなった。核心と言われる1ピッチ目より難しいかもしれないと思った。とは言え結局は危なげなく登れた。やはり残置支点は取られていたのでピナクルでピッチを切る。

▶9ピッチ目(Ⅲ) けろよんリード
ピッチ前半の傾斜は緩くコンテで行くという選択肢もあったが、慎重を期してピッチクライミング。後半、直登ラインは先行パーティが邪魔だったので右から迂回するようなラインを取った。ここに関してはビレイがあって良かったと思えるような傾斜であり、本ルート最後のスパイスとなった。(タケシマ)

後半パートで先行パーティが何やらごちゃごちゃとしていたので、「先に行ってもいいですか?」と聞くと、「待て」と言われる。その数m上、先行パーティがビレイしているところで、先行パーティが行こうとしている直登ルートでなく、その右側が行けそうと踏んだ。少し傾斜が強いが、問題なさそう。ただ所々植物が露出していて、踏み抜いたら足を取られそうなので、慎重に足を固めつつ高度を上げる。途中ロープがスタックしてしまったのかどうも上がらず、残り数mというコールだったので(無線に助けられた)、少し安定した尾根上の岩の上でピッチを切る。ビレイしつつ、上から落石がばんばん落ちてくるし、下から残りのパーティがずんずん上がってくるので、心理的に忙しかった。(けろよん)

▶10ピッチ目 タケシマリード
草付きスラブを一般道との合流地点まで。
14:15 登攀開始から約6時間で赤岳北峰へトップアウト。

その後やや南下して赤岳南峰へ登頂。14:20。

登頂後は文三郎尾根で行者小屋テン場へ下る。一般道だがなかなか悪く、しゃがみ込んで動けなくなっている登山者もいた(もちろん優しくアドバイスしてあげた)。

15:30 テン場到着。テントを回収中に雪が降り出す。回収後は赤岳鉱泉へ移動。

17:00 赤岳鉱泉。

夕食は念願のステーキ!味は言うまでもなし。ご飯おかわり自由ということで、タケシマは3杯も食べてしまった。

●3月6日(月) 曇りのち晴れ
07:10 赤岳鉱泉より北沢を下山開始。
朝食もご飯おかわりして元気回復。あっという間に下山。
08:30 赤岳山荘Pへ下山。

●所感(タケシマ)
赤岳主稜は3年前にも計画があったが悪天により中止となっていた。その後のコロナ禍によりしばらく遠のいてしまったが、今回ようやく念願叶い、また天候も晴れ・無風という素晴らしい条件の中での山行となった。クライミングの内容も、今シーズン2人で行ってきた練習の成果が出たのか、2人とも危なげなくスムーズに登れたと思う。
来シーズンも、しっかりと訓練を積んだ上で、よりレベルの高い冬季クライミングを目指して行きたい。

●所感(けろよん)
赤岳主稜は私も数年前に先輩に連れていってもらったが、悪天のため、1ピッチで敗退となっていた。コロナが落ち着いた今年こそリベンジをと決め、早々から計画していた。前回は非常に寒く耐えられなかったので満を持して、完璧な寒さ対策で臨んだのと、晴れ・無風という滅多にない好条件のお陰で、寒さを感じることは全くなかった。タケシマが言うように、練習の成果に加え、雪が少なかったのもあると思うが、クライミング自体は非常に容易かった。ただ待ちが長かったからか、足に疲労がたまり、後半ふらふらになってしまったのが、自分でも予想外で少し悔やまれるところ。予想外といえば、待ち時間が長かったため、アルパインクライミング中とは思えないほど沢山の写真を撮ることができ、良い記念となった。

※下山後のお楽しみ
縄文の湯で汗を流した後、西へ車で数分のお洒落な蕎麦屋さん「12か月」で昼食。
店構えだけでなくお料理の見た目も、もちろんお味も素晴らしかった。