錫杖岳左方カンテ

●メンバー:Sさん(リーダー)、Kさん、うみっち、タケシマ

●装備:登山装備一式、
登攀装備:アタックザック、ヘルメット、クライミングシューズ、ダブルロープ(50m)、アルパインヌンチャク x12、アンカーテープ、カム #0.4~#5 ×2set、無線、その他基本装備

●10月1日(土) 晴れ

5:45 駐車場出発
5:55 クリヤ谷ルート登山口
6:30 穴滝
7:15 錫杖岳出合

7:55 左方カンテ取り付き到着
既に先行が3パーティほど取り付いている。我々の前の2パーティはT労山のようだ。我々が待機している間にも1パーティ、その後登攀中にもう1パーティが来てと大混雑であった。
40分ほど待った後、うみっち-タケシマの初見組パーティから登攀開始(括弧内のグレードは「日本の岩場」に基づく)。

▶1ピッチ目(Ⅲ)うみっちリード
ほぼ木登りの簡単なピッチ。

▶2ピッチ目(Ⅳ)タケシマリード
やや斜度は増してくるがホールドは多い。残置プロテクションこそ無いものの、ナチプロは至る所で取ることができる。

▶3ピッチ目(Ⅴ)うみっちリード
序盤の核心。オリジナルのラインはピナクル上部のフェースを直登するようだが、現在は残置ピンが抜かれておりナチプロも取ることが難しい。我々はフェース直登を避けフェース下部から左上するクラックに沿うラインを選択(近年はこのライン取りが主流のようだ)、その次は折り返して右へトラバース、バランシーなムーブが続き安心できない。

▶4ピッチ目(Ⅳ+)タケシマリード
3ピッチ目終了点から少しだけ歩いた後は得意の(?)チムニー。狭いがステミングで対応できさほど難しくはない。

5ピッチ目(Ⅳ+)うみっちリード
ランナウト気味なのでリードは怖かっただろうが、見た目ほど悪くなくホールドはしっかりあるので難しくはない。

6ピッチ目(Ⅴ+)タケシマリード
後半の核心ピッチ。V+は出だしにあった立木を使ってのグレードだろうが、いまは折れてしまいさらに悪くなってA0スタートが主流となっているらしい。KさんからもA0で行くように指南された。しかしタケシマはA0で行く気などさらさら無かった。幸か不幸か、先行パーティが詰まっていたので、この間に岩を色んな角度からゆっくり観察することができた。

気合と集中・・・なんとかフリーで突破!思わず声が出てしまった。詳しいムーブは秘密(笑)

出だし核心を抜ければ大チムニー。幅が広くて高さもあるのでちょっと怖いが、クラックも多数あるのでプロテクションは自由に取れる。

V+ってほど難しくはない・・・と思っていたらチムニーを抜けた先のスラブが悪い!プロテクション取れない!にもかかわらず途中に唯一あったペツルはあえて無視した。ランニングオールNPにこだわった。度胸試しはなんとか成功し終了点にたどり着くが先行パーティが懸垂準備中。セルフだけでも取りたかったので小さなフレークにナッツを1本セットしてセルフを取る。意味あんのかこれ(笑)

14:10 登攀終了

登攀後はお隣の「注文の多い料理店」から懸垂下降3連発。後続の先輩パーティと一緒に効率よく下りるため2組のロープを交互に使ったりと運用を工夫する。

連続懸垂も事前に練習していたが、初の実践となると色々もたついてしまった。それにしても「注文~」、なかなか難しそうやないか・・・。

15:10 懸垂下降終了

17:35 登山口
17:50 駐車場到着
お疲れ山でした。

●所感(タケシマ)
自分としては今年3本目の本チャンにして集大成となった今回の錫杖山行。本チャンでⅤ+というピッチグレードに挑戦するのは初めてで、実はかなり重圧を感じていた。その一方で、できればうみっちとの初見コンビでツルベ登攀に挑戦したいという思いもあった。先輩コンビには挑戦的なその提案を受けれ入れたいただいた。
結果は・・・2ピッチ目(Ⅳ)は余裕だった。4ピッチ目のチムニー(Ⅳ+)も楽しめた。核心の6ピッチ目(Ⅴ+)はさすがに緊張したが、どうしてもフリーで挑戦してみたかった。緊張はしたがなぜか落ちる気はしなかった。会心のクライミングができたと思う。もちろんフォローのピッチではスピードを心掛けた。手づまるようなところは無かった。
タイプの違う3本の本チャンを経て、自分の中でよりアルパインクライミングの世界が広がったと思うし、前回の前穂北尾根では体力面で、今回の錫杖では登攀面での自信もついた。これからもギリギリ無理をしない範囲で、自分の世界を広げていけるように日々精進したい。
何はともあれ、今回の山行に誘ってくれてパートナーとなってくれたうみっちに感謝。そして、我々のために貴重な時間を割いて同行いただいたSさん・Kさん、本当にありがとうございました。
1ルンゼ含め、まだまだ皆さんと一緒に行きたいところがあります。これからもよろしくお願いします。

●所感(うみっち)
錫杖左方カンテ・1ルンゼに挑戦しようと計画を立てていましたが、地震や天候に恵まれず、3年目にしてようやく実現しました。
今回は確実に行くことを優先して、左方カンテのみとしました。
先行パーティーがいたおかけでルートは分かったものの、ALLナチプロは初めてだったので緊張しました。終了点はしっかりあったので、見えてきた時はホッとするものがありました。
3ピッチ目の出だしは悩みました。
やや右の直登にするか、左上で行くか。左上の方がプロテクションが取れそうだったのでそっちら側から上がったものの、右に戻らないといけないのでトラバースでまた緊張。
左方カンテは入門ルートということで、初錫杖組でつるべで登れたことを嬉しく思います。
これまで練習に付き合ってくださった先輩方、ありがとうございます。今後もよろしくお願いします。
次は1ルンゼ!