夏の八ヶ岳集中登山

 4月はじめ、「ぽっぽ会の山行としてアルプスに行きましょう!」というアッキン先輩の呼びかけの元に8人が集まりました。が、行先をどこにするか、登攀なのか登山なのか、練習方法とスケジュール調整をどうするか、大きなことから小さなことまで、紆余曲折、多事多難、すったもんだを繰り返し、最後はアッキン先輩が怪我をしてリーダー交代、そして台風が近づくという波瀾万丈な山行となりました。伝統あるぽっぽ会も、他の山岳会に漏れず、コロナの影響で会全体の山行訓練や山行が長らくストップし、新人初心者同士の一からの出発となった会の団体山行が山あり谷ありの課程を経るのは当然といえば当然のことで、長きに渡り見守り引っ張ってくださったアッキン先輩にはまず感謝の気持ちを伝えたいと思います。また、別行動とはいえ、牧師先輩が行き帰りご一緒できたのは大変ありがたかったです。ありがとうございました。

縦走中、牧師先輩とスレ違う

●行先: 八ヶ岳

●メンバー: 2チーム 
 登攀チーム: ひっきー、もっちゃん、masa、うみっち
 登山チーム: まゆみん、ヨッシー、山ピー

●事前の計画: 
 登攀チーム: 1日目 現地入り後、取り付き偵察 2日目 大同心雲稜 3日目 小同心クラック
 登山チーム: 1日目 登攀チームに同行偵察 2日目 赤岳~硫黄岳縦走 3日目 阿弥陀岳

●日程: 
8月10日夜~12日(予定では13日)
8月10日: 出発前に天気予報が急変、台風低気圧の接近で2日目3日目の天候悪化が予想されたが、予定通り現地入り
8月11日(1日目)にできる限りのことをやることに変更。
  登攀チーム: 小同心クラック登攀~横岳から硫黄岳縦走
  登山チーム: 阿弥陀岳~中岳~文三郎尾根で赤岳鉱泉
8月12日(2日目)はチームを再編成し、赤岳登山(希望者)組と下山組に分かれることにしたが、夜半および夜明けに雨が相当降り、朝食後全員で下山することに最終決定

●記録:
8月10日 【登攀チーム】 19:00 大阪発  【登山チーム】大阪発 20:00        
8月11日 
【登攀チーム】 
1:00美濃戸着(仮眠) 仮眠駐車場で登山チームと合流。1日目の予定を大幅に変更したため、登攀チームは先に出発することにする。
4:00起床 4:40美濃戸発 
6:50赤岳鉱泉着(テント張り、準備)テント場で再び登山チームと交流。お互いにエールを送る。

[小同心クラック登攀]
<装備>50mダブルロープ、カム/ナッツ(特に使用なし)、アルヌン10本、フリーヌンチャク4本

8:00赤岳鉱泉発 
赤岳鉱泉から硫黄岳方面へ向かい、ロープが張られたところから大同心沢にはいる。
大同心沢左岸の明確な踏み跡をたどると、そのうち涸れ沢を横切り右岸へ。
右岸を登っていくと、次第に急登になり、明確な尾根線(大同心稜)になる。睡眠もとれず、早速高山のきつさにめまいがするメンバーも。しかし、次第に大同心が見え始め全員のテンションが高まる。大同心基部へはどんつきまで上がり、そこから小同心に向かってトラバースが始まる。

大同心には、1パーティが取り付いており、リードの女性が、最初の乗越が越せずになんどもテンションをかけている。続くパーティがいないので、できるまで頑張らせるつもりか、セカンド、サードの男性は「もう代わって~!」の嘆願にも微動だにせず。。。
跡をたどって小同心の取り付きへ。

大同心基部から小同心取り付きへ。
わくわく。。。

10:10小同心クラック基部に到着。

小同心にも先行1パーティ。こちらの動きはスムーズだ。
10:30クライムオン(うみっち-masa先行)10:45(ひっきー-もっちゃん)クライムオン
うみっち-masaペアは1,3ピッチをうみっち。ひっきー-もっちゃんペアは1,3ピッチをひっきー

1P(35m Ⅳ―)スラブを左上し、チムニーを超す
チムニー目指して、左上して行く。岩にスリングをかけてランニングビレーをとりながら登る。チムニーを越したところにアンカーボルト(2カ所) 岩の間を通る手前にもアンカーボルトがあるが、こちらをとると、後で悲惨な目に遭う。

2P(30m Ⅳ)チムニーから中間の左のカンテ状を上り、再びチムニークラックを登り、テラスへ。
ビレイ地点の右側をとおり、チムニーに入っていく。ホールドは多く、岩が剥がれやすいと聞いていたので確認しながら触るがそれほどもろくない。チムニーを抜けたところでビレイ。屈曲するところは、120cmスリングを伸ばすか、あまり支点をとらずにいってしまわないと、後のロープワークで悲惨な目に遭う。
ひっきー-もっちゃんペアは1P目のアンカーの場所が悪かったのと、2Pのロープの交差、支点のとり方のミスで、ロープがキンクしまくり、ロープの引き上げが大変だった。声も通りにくく、ロープが引き上げられないのか、ゆっくり迷いながら登っているのかわからず、慎重にロープの動きで相方の動きを判断。

3P(25m Ⅱ―Ⅲ) 凹角直上はⅣ
被っているが、ホールドがあるので迷わず直上。少し登ると平坦になり、もう終了点だった。 手前とさらに進んだところと2か所ビレイポイント。

小同心の頭
ロープをしまって、横岳山頂に向かって歩き。
横岳山頂直下の岩場までは、コンテで歩く。 山頂直下の岩場(4P、20m Ⅱ)ではロープをしまい、にフリーで上がる。横岳には見物する登山者が鈴なりで、上がると拍手喝采。正直、登攀はそれほど難しいものではないので、めちゃくちゃ恥ずかしい。

12:30 先行ペア横岳着 13:00 後発ペア横岳着 

休憩後全員で出発 大同心下山のときの最短下降ルートなど視察。横岳を越えたところ、大同心ルンゼ源頭部(階段状の岩場、Ⅰ~Ⅱ+)をクライムダウンし、大同心バンドから大同心稜を下ればよい。

14:40 硫黄岳到着、休憩。
16:00 赤岳鉱泉へ下山 

【登山チーム】 
1:25美濃戸着(仮眠) 
4:30起床 
5:22美濃戸発 
7:45赤岳鉱泉着(テント張り、準備)
8:40赤岳鉱泉発 
寝不足だったが、元気に出発。高山歩きはきつかったが、阿弥陀岳までは快調。

11:50阿弥陀岳着

阿弥陀岳登頂~!

13:20中岳 
14:00分岐
16:15 赤岳鉱泉着
   
*赤岳鉱泉小屋の天気予報では富士見町のものしか出ておらず(8月12日は終日曇り)、出発前予報では登攀は難しそうであったため、希望者のみ赤岳登山することにする。

8月12日 

4:00 赤岳登山希望者(うみっち、もっちゃん、山ピー)起床準備始めるもまたも雨がふりだし断念 全員で撤収。

8:00 下山開始 

9:30 美濃戸へ下山

下山後は、お風呂、J&Nでのランチ、八ヶ岳農偉業大学校の販売所立ち寄りなど、八ヶ岳の休暇を満喫!

下山するとおいしいものだらけ~。涼しい~。

●個人所感
ひっきー(所感); 
 ぽっぽ会に入会してまだ1年未満ですが、はじめてのリーダー(兼登攀リーダー)をさせていただきました。
 アッキン先輩に急遽代わってのリーダーではありましたが、山の嗜好・経験・体力・技術がさまざまなメンバーの意見をいかにまとめるか、はじめての集中登山をどうやって全員で楽しめるかが課題でした。ルートや必要な技術や装備の下調べに力を入れるのとは全く違う、「山岳会とはなんだ?」を考える山行となりました。
 山岳会に入って、気の合う相棒を見つけ、密な関係で次々と行きたい山にいく。それも大事なことです。が、縁あって入会した山岳会をまるごと楽しむ、大勢で和気藹々と楽しくやりながら、なおかつ自分の課題、仲間の課題を見つけ達成していく、こういう山行形式の達成感も大事だなあと思います。大勢集まれば集まるほど、軋轢も増え、問題も山積みとなりますが、ひとつひとつクリアしながらなんとか無事に、内容も充実した濃縮時間を過ごすことができました。 これもリーダーシップを支えるメンバーシップのおかげです。
 八ヶ岳の雄大な自然の中に包まれることは本当に気持ちよいものでした。

もっちゃん(所感); 
 今回の目標だった大同心登攀は達成できず残念でしたが、アプローチと取付き位置、下山路の確認ができたのは良かったです。

 登攀での反省点
  ①2P目のピンの取り方が悪く、ロープ引き上げに時間と体力を使ってしまった。
  ②パートナーとの意思疎通ができなかった。

 山行中の反省点
  ①荷物はもう少し軽量化できた。
  ②天気予報をスマホ(稜線以外は使えない)と小屋からの情報(平地の天気予報)に頼るしかなかった。
  ③登攀、歩行技術だけでなく生活技術の練習も必要

 単独行や少人数での山行が多かったので、今回の山行は学ぶことが沢山ありました。また、計画・準備段階で人任せにしてしまったことも多々あるので、反省して次回の山行にいかいていきたいと思います。八ヶ岳の稜線歩きは癒やされました。

うみっち(所感); 
 初めての八ヶ岳はアルパインで大同心雲稜ルート・小同心クラックの2本の予定でしたが天候に恵まれず、小同心クラック1本に絞込みとなりました。
 そのかわり1日で、美濃戸〜赤岳鉱泉テント設営〜小同心クラック〜横岳〜硫黄岳〜赤岳鉱泉という、私にとっては長い行程でチャレンジな1日となりました。
 小同心までのアプローチは急登でかなりこたえました。
 登攀は初級で思ったほどグラつく岩も少なく、ランニングを取れそうな所は少なかったものの丁寧に登れば大丈夫といった感じで、終了点もよく整備されていました。
 各ピッチの終了点から見る景色は雄大で最高のご褒美でした。
 小同心ノ頭から横岳に行くのがちょっと「おっ!」と思いましたが、始まりはコンテで行き、途中ロープを解き横岳山頂まで丁寧に登りました。
 パートナーのmasaさんには感謝です。
 この日は快晴だったので硫黄岳への縦走では素晴らしい景色を堪能できました。
 山行中、4人で話し合い、声を掛け合いながら行ったので、体力的に精一杯でしたが、とても楽しく充実した山行になりました。
 テント場での全員揃った夕食も楽しく、良い刺激をもらいました。
 立案をし引っ張ってくれたアッキンさん、そしてこれまでトレーニングやアドバイスをしてくださった先輩方、ありがとうございました。

masa(所感); 
 2日間おつかれさまでした。
 大人数でワイワイ楽しかったです。
 個人的には、クライミングも経験なく登山もやり始めた時に赤岳登って、途中に大同心みて友達があそこからのぼれるよって聞いたときにいつか行けたらいいなと思ってました。
 まさかそれが実現出来たと事に感動と驚きです。
 あと、ひっきーリーダーが色々と調べまくって段取りしてくれた事を感謝致します。
 初めてのアルパイン実現させてくれたぽっぽメンバー皆さんに感謝いたします。
 ありがとうございました。

まゆみん(所感);
 八ヶ岳は、冬のアイスクライミングも含めて、4回目となりましたが、登山は2回目。
 八ヶ岳が初めての2名とともに、夏山登山を楽しむ久しぶりの会山行となりました。
 到着初日は、軽くとりつき巡りのはずが、天候不良により寝不足の状態でとりあえず、出来る範囲での行動を目指すこととなりました。
 赤岳を踏めなかったことは残念ですが、メンバーの次の高山登山のスタートとなる一歩であったなら有意義な1日であったのではと思います。
 登山中はとても良い天気で、阿弥陀から文三郎尾根までの道のりは美しく、久しぶりに広大な風景を楽しむことが出来ました。
 しかし、夜間から雨に見舞われ翌朝早々にテントを撤収し下山をせざるをえませんでした。
 ですが良い天候の中、涼しい避暑地で夜ご飯を食べながら、飲みながら久しぶりの会山行で語らいあうことがも出来て、良い夏の思い出となりました。

ヨッシー(所感); 
 台風の影響で二泊三日の予定が一泊二日に短縮となりましたが素晴らしい八ヶ岳を満喫できました。
 当初は、

  一日目‥‥美濃戸口から赤岳鉱泉まで
  二日目‥‥赤岳~硫黄岳縦走 
  三日目‥‥阿弥陀岳、下山

 の予定でしたが、二日目に雨が降るだろうということで

  一日目‥‥赤岳鉱泉〜阿弥陀岳〜中岳〜赤岳
  二日目‥‥下山

 に変更しました。

 高山に慣れていないのか、少し歩いただけで息がきれて大変でしたが高度が上がっていくにつれ、そこに行かなければ見れない素晴らしい景色があり、大変感動しました。
 歩いているときは暑かったですが、 時折涼しい風がふき、快適でした。
 時間の都合で赤岳には行けませんでしたが、阿弥陀岳~中岳~文三郎尾根で赤岳鉱泉へ下山しました。
 今回は赤岳~硫黄岳縦走できなかったのでリベンジしにいかないと!メラメラ〜!!(炎)

山ピー(所感); 
 今回、初めての高山に来ることが出来ました。会の先輩から高山の写真を何度も見せてもらって、その度に近場の山とは違う景色に憧れを抱いていましたが、今回その念願が叶い、大変うれしいです。
 実際に来てみた感想としては、想像していたよりも景色がきれいに見ることが出来、稜線に小屋や人の立っている姿が確認できるほど見通しが良く、普段とは全然別世界といった感じで、たくさんの人が山にはまるのを理解しました。天候に恵まれず、1日だけの山行となりましたが、それでも十分に来た甲斐があったと思える体験でした。
 収穫としては、自分は高山病の影響をほとんど受けなかったこと、課題としては10時間程度の活動の後は足が疲れてきて、踏ん張りが弱くなり、下りがきつくなっていたことが挙げられます。
 今後は景色の移り変わりをもっと楽しみたいので、縦走を目標にして活動をしていこうと思います。活動時間も担がないといけない重量も増えると思うので、もう少し体力向上をする必要があります。