稲子岳南壁 左カンテルート

●日程
8月7日(日) 大阪→本沢温泉入口P→本沢温泉(テント泊)
8月8日(月) 本沢温泉→稲子岳南壁登攀→本沢温泉→本沢温泉入口P→帰阪
※稲子岳南壁の最寄りの小屋/テン場は本来しらびそ小屋であるが、今回は休業中であったため本沢温泉での宿泊とした。

●メンバー:けろよん(リーダー)、竹嶋

●装備:テント泊装備一式、登山装備一式、
登攀装備:アタックザック、ヘルメット、クライミングシューズ、シングルロープ(60m※)、フリーヌンチャク x2、アルパインヌンチャク x10、アンカーテープ/クアッドアンカー、カム #0.4~#4 1set、ホイッスル、無線機、その他基本装備
※60mロープを持参したが50mでも恐らく問題ない。

●8/7
14:00 本沢温泉入口P
一般の駐車場より「四駆車のみ通行可」の凸凹オフロードを竹嶋号(フォレスター)で数台分の駐車スペースまで10分ほどスリルドライブ(※さらに上部に最終地点の駐車場がある)。時短にはなったが慣れないオフロード走行で登山前から変に疲れる。
駐車スペースから本沢温泉までは歩きやすいほぼ一直線の登り坂。1.5hrほどで本沢温泉テン場へ到着。

本沢温泉は日本最高所(2150m)の露天風呂とのことであったがこの日は入らなかった。

夕食はけろよん提案のサバ缶冷汁&素麺。過ごしやすい気温だったのでテントの外で頂いた。

●8/8
3:00 起床、朝食
4:00 出発
本沢温泉から北東へ少し戻りミドリ池への分岐を北上、中山峠・みどり池の分岐を中山峠方面へ西に向かう。2100m付近に稲子岳南壁基部への入り口がある。入り口足元に小さなケルン、目線あたりの木に赤・ピンクテープがある。そのまま赤テープと踏み後を辿って取り付きへ向かう。

取り付きへの分岐(写真では見づらいが赤テープ、小さいケルンあり)

稲子岳南壁が見えると急登となる。ザレ場で足元が悪い。浮石も多くここは注意して歩くが、ここでもテープはあり、迷うことはない。入口から40分ほどで取り付きへ到着。なんとここに来て濃霧&小雨が降り出す。どうなることかと思ったが準備をして登りだせば雨はいつの間にか止んで一安心。

稲子岳南壁基部
1ピッチ目出だし

6:20 1ピッチ目(Ⅲ) けろよんリード
易しい、しかし楽しい。終了点から振り返れば一気に視界が広がり、天狗岳とその上を流れる滝雲、硫黄岳と爆裂火口、そしてそれらの間に広がる広大な樹林が見える。

6:50 2ピッチ目(Ⅲ) 竹嶋リード
こちらも易しい、でも楽しい。
さらに視界は広がり、遠くに雲海が見える。

2ピッチ目終了点直前

6:25 3ピッチ目(Ⅲ+/Ⅳ) けろよんリード
ビレイステーション直後の登攀ラインとしては右のチムニーと左のフィストクラックの2つがある。日本登山体系では前者をⅢ+として紹介しているが、最近の状況としては後者のラインの方がよく登られているとのこと。我々もフィストクラックを攻めることにした(どうもⅣ級らしい)。が、実際なかなか手強かった。核心はこの部分だけで後はイージー。けろよん、3ピッチ目本来の終了点を行き過ぎ正規4ピッチ目の途中でピッチを切ることになったが、登攀には問題なし。

核心のフィストクラック
天狗岳をバックに

7:20 4ピッチ目(Ⅲ+) 竹嶋リード
凸凹の大岩を飛び越えていった先にややハングしたクラック。しかし先のフィストクラックに比べると、ほどよいスパイスといった程度。ここを超えると傾斜はなだらかになり登攀終了。行動食を摂りながらしばし休憩後、稲子岳のピークを目指す。

硫黄岳、天狗岳をバックにトップアウト

9:22 稲子岳ピーク
眺望は無し。。。
そのまま樹林帯を中山峠方面に向かい(途中少し遠回りしつつも)一般道へ合流、テン場へ戻る。

11:20 本沢温泉テン場
だいぶ巻きで下山できたのでテントを撤収後、コーヒーを一杯。

13:30 本沢温泉入口P
再びスリルドライブを堪能(?)した後は稲子湯で汗を流し、帰阪。
お疲れ山でした。

●所感(竹嶋)
今回のルートはグレードこそ低いものの、自身にとって2000m以上の高山帯でのクライミングは初めてであり、良い経験となった。高山とは言え本格的な縦走に比べると歩行距離も短く、登攀も比較的易しめ、ピッチも4~5ピッチということで、アルプスでの本チャンに向けた入門ルート、シミュレーションとして最適かと思う。何より真夏でも快適な気候で登れるというのは、関西近郊の岩場ではできない、高山ならではのメリットである(その分移動の距離、時間がネックになるが)。眺望も素晴らしい(天候にも恵まれた)。冬期登攀も面白そうなので機会があれば狙ってみたい。

●所感(けろよん)
写真で見て、「行ってみたい!」と久々に思った今回のルート。天気も味方して、楽しいクライミングとなった。壁へのアプローチであるが、行きは、分岐地点にあたりをつけていれば、テープに導かれ比較的容易。下りは少々迷いやすいので、コンパスで方向を確かめながら歩いたほうが良い。核心の3ピッチ目、クラックグレードとしてはさして高くないのであろうが、高度感があるため、「落ちれない」恐怖感から足がすくんでしまう(体感的にはフリークライミンググレード10bくらい?)。今回はスリングによるアブミとA0で登ったので、次回はきちんと人工登攀でなくして登り切りたい。
4ピッチ目のビレイステーションは分かったが、次のピッチまで行けそうと色気を出して先に進んでしまった。(思えば核心のクライミングで多少動揺していたのかもしれない)。稲子岳のピークを踏むには多少「テクニック」が必要なので、事前に調べていくことをおススメする。

稲子岳頂上付近に咲いていたコマクサ(保護用柵の外側から撮影)
帰路で出会った鹿たち